ー1 金属の腐食について学ぶ
建築材料には金属を用いているものが多いですが、どうしてもそういったものは腐食(錆)が発生してしまいます。腐食を防止するために様々な被覆、例えば防錆塗装、メッキなどを施しますが、それでも完璧なとはなりません。
東京タワーは、4年~7年の間に1回必ず塗装をしなおしています。結果として60年以上、基材である鉄の腐食は避けられているという状況です。
先般、街を歩いていて見つけた比較的新しい建物の金属腐食部分について、文章で取り上げました。おそらく異種金属間接触による腐食進行だと思われますが、そういったことを避けるためにも腐食に対する知識をもって億必要があります。そのために、この本を若いときに買いました。読み直しをしています。
ー2 金属の腐食原理(電池作用)
金属の電位差によって生じる電池作用によっておこる腐食がほとんどです。そこに介在するものとして酸素(イオン)の存在が大きな役割を果たします。酸素は空気中に存在し、水(雨水)にも溶融しているので、まずは、酸素との接触を避けることが防食の第一歩となります。
-3 腐食を促す水質と原因物質、その関連性
右の表は金属の腐食に関連する水質因子を並べた者です。表が示す通り、腐食に関連する要素は非常に多岐にわたるため、詳細は省略しますが、使う材料がどのような条件下に置かれて継続して使われるかを見極めるのが、大切なことです。
ー4 水源水質と腐食性
・雨水
最近は工場廃棄の浄化も進んでいるため、酸性雨の影響はすくなくなってきているといわれていますが、当然ながら腐食を促進します。酸性雨の原因物質は、窒素酸化物や亜硫酸ガスです。これらは、雨水溶け込んでから酸性物質に変わるまでタイムラグがあるため、酸性雨の影響は、工場地帯にとどまらず広範囲に影響を及ぼすことが指摘されています。

紹介図書より図表は抜粋
・河川水
我が国の河川は急峻なものが多く、年間雨量も比較的多いため、塩化物イオン等の腐食に関係する物質は少ないといわれていますが、降雪の影響から、日本海側の河川の方が太平洋側の河川に比べ2倍となっているデータがあります。また、火山国でもあることから、温泉の流入等がある河川は、硫化水素濃度も高めになっているなどの特殊な状況があるといわれています。
・湖沼水
植物性プランクトンの光合成により酸素の含有が高い、またカルデラ湖では硫化水素濃度が高いなどの特徴があります。水流動性が低いため、深さにより水質がことなることが特徴です。
・地下水
天然の炭酸水があるように、CO2濃度の高い水質となっていることが多いです。深井戸よりも浅井戸のほうがその傾向が高いため、腐食を引き起こす原因となる可能性が指摘されています。
・海水
海水は塩分を含み、導電性が高いことから、水中においては電気防食による析出物で鋼構造物をまもることができるといわれています。しかしながら、プランクトン等の有機微生物も含まれており、析出物の不均質な生成により腐食が進行するなどの事例があるそうです。
一方、沿岸地域における降雨には塩化物濃度が腐食に与える影響が大きいため、特殊な配慮が必要となります。
以上のような傾向を踏まえ、材料の選定や、様々な防食に対する配慮を行う必要があります。
ー5 その他の腐食要因(異種金属接触腐食)
※参考資料 日本ダクタイル鉄管協会https://www.jdpa.gr.jp/download/journal_page/jdpa_098_068.pdf
異なる2種類の金属体が接触し、廻りが電解質に侵されると、相互に影響しあって、腐食電池が形成されます。これが”異種金属によるマクロセル腐食”といわれるものです。例えば、亜鉛は鉄よりも溶けやすく、腐食しやすい。亜鉛と鉄が接触すると、右図のような腐食電池が形成され、鉄は腐食しません。
逆に、鉄よりも腐食しにくい金属、例えばステンレスと接触すると、腐食電池が形成され、鉄が腐食します。
腐食速度は、鉄イオンが溶出して腐食する部分Aと電流が流れ込むBの表面積の比率によって変わってきます。A>Bの場合、腐食進行速度は遅く、極端な腐食は発生しません。
逆に、A<B野場合は腐食速度が速く、Aは激しく腐食します。例えば、ステンレス部に鉄製のビス、金物を接触させる場合、絶縁処理を施さない場合、ビス、金物は早期に激しく腐食します。



ー6 硫化水素腐食
内面モルタルライニングの硫化水素腐食野メカニズムは以下の通りです。

こういった腐食は、管内に充水されている状態が継続する場合は、内面腐食は起こりにくいのですが、動水 勾配よりも高い位置にある管路や、一部で満流とならない箇所では、モルタルが侵され、管全体の腐食につながることがあります。

ー6 建築における腐食事例(大規模な腐食電池)
局部電池不足(ミクロセル)はアノードとカソードが混然としているが、マクロセル腐食ではアノードとカソードが離れて腐食電池を形成し、腐食を生じる。
土中に埋設された給水管やガス導管が、鉄筋コンクリート製建物内で吊り金具や基礎のアンカーボルトなどを介して鉄筋と電気的につながり、全体として大きな面積を有するコンクリート中の鉄筋は有効なカソードとして作用し、土中のエルボなどがアノードとなって著しく腐食される。
エルボにテープ巻きや塗装が施されている場合、テープの隙間や塗装の欠陥があると、そこに電流が集中するため、激しい腐食に見舞われる。
これを防止するため、絶縁パイプの挿入、あるいはスリーブを用いて、鉄筋との金属的接触を避ける措置、あるいは電気防食などの対策が取られる。
ー7 薄板同士の異種金属接触腐食
以下に、異種金属接触腐食が懸念される箇所の例を挙げる。(参考資料:社団法人日本鉄鋼連盟 建材薄板技術・普及委員会 塗装/亜鉛系めっき鋼板の異種金属接触錆防止方法)





ー8 まとめ
薄板の腐食については、様々な亜鉛メッキ鋼板がでているが、どうしても穴をあけて取付ざるを得ないところがたくさんある。
そういった部分で、間違った処理をしてしまうと、結果的に品質を損なうことになるので注意したい。特に、今後は取付にあたる職人が外国人であったりする場合も増えてくる。
きちんと指導をするようにしないと、結果的に、客先に迷惑をかけることになるので、金属をとり扱うときの防錆については、材質、ディテールをしっかりと見極めるようにしたい。
防蟻材、防腐剤の及ぼす影響のことは知らなかったので注意したい。