原則は「東京都建築安全条例」「東京都駐車場条例」です

一定の規模を超える集合住宅には駐車場を設けることが義務付けられています。東京都の場合は、駐車場出入口に関しても東京都建築安全条例に従い、「東京都駐車場条例」を定め、規模に応じた駐車場の設置を義務付けています。駐車場出入口は特に注意が必要です。
しかしながら、「一家に1台」というほど東京には土地が余っていないので、各区が駐車場条例にかからない規模の建物に対しては、条例を定めて駐車場台数の確保を指導しています。
加えて、駐車場出入口に関しては、駐車場出入口は東京都建築安全条例に従う必要があります。
また、駐車場は車両交通の安全を確保する必要があるため「第二章第五節 自動車車庫等」をさだめ、駐車場が安全に運用できるように、最低限の規制を設けています。
そんなにうまくいかないんです(泣)
・・・・と、原則論はなっているので、まずは私達建築士はそれを守って計画するのが第一選択です。が、東京にそんな余裕のある土地は、なかなかありません。ですので、個別協議で警察署の交通課に行って相談をしてくるわけです。駐車場出入口も含め駐車場は全体的に東京都建築安全条例に則って対応します。
東京都建築安全条例には「ただし、交通安全上支障がない場合はこの限りではない」という言葉が、各条文にあります。いわゆる「但し書き」ですね。
そこを頼りに、区、警察が「条例上正しくはないが(枕詞です)、安全上の支障をすくなくする努力をしている」といってくれるように、お願いをしに行くわけです。
お願いをしながら、分かってきたこと
視認性の確保については、あらゆる努力が必要です。もちろん出庫灯をつけるとか、機械に頼る方法はあります。ですが、駐車場出入口と、建物の配置、植栽の考え方の整理、通過交通への配慮などを分析し、安全に出庫できる状況を理屈立てて説明できなければ、こちらが欲しいコメントが帰ってこないわけです。駐車場出入口を考慮することが不可欠です。
「あちらを立てればこちらが立たず」の状況は共同住宅を設計する場合には、様々な規制が多いだけに、結構あります。
例えば、駐車場出入口と、緑化、公開空地の確保などは相反条件です。車が道路の近くまできて安全確認ができる状況をバランスを考えながら設計しておく必要があります。
1階に商業施設などがある場合は、その看板設置位置や駐車場入り口の案内が、かえって出庫の危険性を高めてしまう場合もよくある話です。
協議結果における指導はまちまちです。
例えば、車にはボンネットがあります。ワンボックスカーも最近は衝突安全基準が厳しくなったこともあり、ボンネットの形状がついているものも増えてきています。今回、3物件分、それぞれ違ったケースで同じ協議を警察と行ったうえでこの記事を書いています。
指導は、正直まちまちです。わざわざ条例で道路境界線から2m下がったポイントから120度の範囲が見渡せるようにするとされているところもあれば、警察の交通課指導で2.3m下がったところからとするようにと同様の個別指導を受けたところもありました。
指導が違うことが悪いことなのかというとそうじゃない。
正直に言って、面倒ではあります。じゃあ、統一見解を作って、もう少し客観的判断ができるようにしてほしいという意見もあるかもしれません。
ですが、3つ同時にやってみて思ったのは、危険だと思われることはそれぞれに異なるんですね。駐車場出入口を含めた建築安全に関しては、案件ごとに詳細に協議することが求められます。
だから、これは話し合いをして、みんなが納得できる結論を記録に残すというプロセスをたどることが、一番の目的である交通安全確保を達成するために必要な苦労だと思いました。
「間」の話につなげます。
相反条件がある場合は、やはり「間」を取る場面を作る必要がありますね。そしてそれを避けようとすると、無理無駄、係争・・・となるわけです。・・・「根回し」って言葉は、ネガティブにとらえられがちなんです。
間に入ってくれる協力者(役人)を「法律(条例)」との間に作るアクションを今回の場合はやったわけで、決してズルをしているわけではない。そこを自信をもって説明できるように自分が強くなければいけない。
世の中もその努力を認めてくれるようになってくれると、建築係争はもう少し減るんじゃないかと思うのです。