京都アニメーションのスタジオ放火事件を防災研究の観点で見直す
2019年に発生した痛ましい放火事件では、被告が控訴をせず、一審で死刑が確定する見通しです。建築に携わる者として、なぜ準耐火建築物で36人もの犠牲者が出たのか、基本的な知識を持つ必要があると考えました。
火災の分析については、以下の記事を参考にしました(日経クロステック):
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/00667/?i_cid=nbpnxt_sied_blogcard
また、学術的な視点では、京都大学防災研究所が2020年に発表した以下のレポートが有益です。このレポートは、同規模の事務所での火災発生確率を分析し、竪穴区画の重要性や規模に応じた建築規制強化の可能性を議論しています。
https://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/nenpo/no63/ronbunA/a63a0p11.pdf
結論として、竪穴区画は火災リスク軽減に有効であり、被害建物の規模(500㎡以上)の事務所用途建築物では火災発生確率が数十倍から100倍に上ることが示されています。この研究を踏まえ、避難バルコニーの分散配置、籠城可能な空間、複数方向への避難経路、火災遮断性などを議論する場面を、設計の過程で真剣に設けるべきだと感じました。
最低限の防火規制に基づく設計が経済的に求められるのは仕方ありません。しかし、リスクに向き合う姿勢を持つことは、建築に携わる者の義務であり、常に心に留めておきたいと考えます。