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OS-003|設計図のまとめ方がスタートライン

初めての作品発表か?

岡田新一が設計を担当し、雑誌発表に至った初めての作品だろうか。ファイルの一番はじめはこの雑誌から始まっている。1962年10月建築文化(彰国社)に掲載された「昭和石油相模原グランドハウス」である。

国土地理院の航空写真をあたってみたところ、1979年の地図には、明らかに掲載されている配置図と同じ位置関係にある野球場が見られるが、サッカーグランド等はゴルフ場の一部となっているように見受けられる。おそらく、この時点で、当初の状況から変わっていると想定されるが、大きい方の野球場の近くにクラブハウスと思われるものがある。現在の航空写真では倉庫が建っており、残念ながら、現存はしていないようである。

配置図

当時、この記事のタイトルは「図面整理の新しい方向」とされている。この時岡田は、アメリカに留学に出ており、作品の説明はおそらく岡田の同僚、もしくは部下と思われる、嶋富士夫氏によって書かれている。

建築文化1962年10月号表紙

国土地理院1979年航空写真より

JIS規格制定に向けてのゼネコン設計部ゆえの取り組み

この時期、設計図におけるJIS規格の制定に対しての試みがあったと想定される。モデュラーコーディネーションについてJIS A 0004がその結果として結実するわけだが、日本規格協会グループのサイトによれば、2020年をもってこの規格は廃止されたと記載がある。廃止の理由は、その役割を終えたためとある。ISOとの関係も想定できるが、定かではない。

モデュラーコーディネーションは、建築士の資格を勉強した人はお分かりかと思うが、建築の「工業化」を進めるための考え方の一つで、規格化生産された材料(例えば、日本の伝統的なものでいえば畳)の寸法と建築の設計、建設寸法を一致させ、効率的に材料を用いることで、無駄を省き、大量に建物を生産するために考え出された手法である。廃止の具体的な理由は、生産技術の発達により、材料に建物を合わせる思想が陳腐化したということが理由と思われる。

右に示されているのが、記事に記載されている、いわゆるこの建物を設計・生産するための「ルールブック」である。記事の中で、工業生産された材料と設計図に示される寸法が「合致」していないことが建築生産の効率を下げていると嶋氏は指摘している。その上で、鹿島建設設計部としては、以下のとりまとめをしたと思われる。

  • 900=約3尺をもとにした伝統的グリッドの踏襲
  • 高さ方向のルール化
  • それによる材料の切り出し標準化

日本的なモジュールの発想と工業生産を結びつけるための工夫が込められた模式図として発表したかったものなのではないだろうか。

雑誌に掲載されている図面は、通り心に対して、モジュールを併記する形でのプレゼンテーションを敢えて表現している。

「ルールブック」

こういった取り組みが、アメリカにおいてはどのように行われているのか、また、それに対するデザイン、設計体制、生産体制等がどのように機能しているのか、これらの道筋を追う使命を負いながら、岡田はアメリカへの留学に向かったことが想定される。当時において最先端の取り組みであったであろう。

モジュールの発想とこれからの建築生産への考え

さて、翻ってモデュラーコーディネーションの考え方をまとめたJIS A 0004が廃止されたとは言え、建築現場の世界には「サブロク版」などの尺貫法をもとにした材料規格が存在し、我々の設計手法も、やはり900~800の倍数で考え、設計することを一級建築士資格取得の学校では教えられる。大量生産を可能にする技術という点では、役割を終えた考え方ながら、無駄をなくし、誰でも寸法関係がわかりやすい設計という観点は、これからの日本における建築生産の世界では、職人の多様化(多国籍化)の点では忘れてはならない観点である。この記事を読みながら考えたことである。

なお、この記事における観点は、岡田新一設計事務所で習得した設計図の考え方とは似ているものの、あくまでも「ルールブック」にもとづく、プロダクトとしての図面をどうするかという点において、踏襲されているのみである。

では、「ルールブック」に至るまでのプロセスをどうするのか、という点において岡田新一の哲学が生きていると考えている。その点については、これからの文章から読み解いていきたい疑問点である。

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