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東雲・辰巳探検記録②|東雲キャナルコート+辰巳団地

ー1 建築計画学系研究室出身の建築家として、計画のご説明から

UR(都市再生機構)が様々ななディベロッパーおよび有識者、有名建築家が協働するテーブルを用意しました。その努力によって完成した東雲キャナルコート。

2005年にグッドデザイン賞を受賞しています。各界から評価を受けている2000戸以上の住戸数を持つ大規模団地。以下、賃貸会社の広告文を抜粋します。


東京駅から5km圏内。水と緑が麗しく、あらたな活気に満ち溢れる注目の「Tokyo Bay Area」。
計画的に整備されたまちづくりによって、さまざまな生活施設が身近に集積する快適さと、開放感あふれる美しい水辺の風景が毎日の暮らしを彩ります。
「東雲キャナルコート CODAN」の約40,000㎡に及ぶ広大な敷地には、緑道や中庭などのオープンスペース、商業施設、クリニック、子育て支援施設などが充実し、まるでひとつの街のよう。
建物は建築家たちのコラボレーションによるデザイナーズ物件で、間取りは1K~4LDKまで全774タイプの多様なラインナップと、専有面積41 ㎡~132 ㎡までのゆとりの広さを誇ります。また、活発なコミュニティ活動や子育て支援の取り組みも大きな魅力です。
ONもOFFも。「Tokyo Bay Area」の暮らしを思う存分に愉しむことができるビッグコミュニティ。
それが、「東雲キャナルコート CODAN」です。

全体鳥瞰写真


賃貸を中心とした集合住宅です。建物の中に共用のオープンスペースのような「穴」があけられていて、それがこの団地の全体的印象の特徴といえると思います。中央は「S字アヴェニュー」(もう少しなんかいい名前ないの?と思うが)で貫かれ、各棟前のコート(中庭)が面しているような形になっています。

住居プランも、様々な都市居住の形を想定して、積極的な提案がなされているように思います。774タイプもあるらしいです。

管理会社のサイトに、4種類のお部屋が3Dで体験できるページがあります。多くの部屋が床から天井までの開口部となっており、バルコニーは少な目です。高密度に立てているので採光がどうしても住宅の基準をみたすことができないので、そうなっているのかな、と想像します。

ー2 コートハウス型集合住宅

コートハウス型の集合住宅の先駆けとして、中庭をルール化して開発された幕張ベイタウンがあります。ただし、あちらは、コート自体はそれぞれの住宅が専有するもの。以下のサイトを見ると、魅力的な写真がたくさんあります。作者もコートハウス型の集合住宅を積極的に評価してらっしゃる。私も同感ですね。ただ、バブル期の(社会的)余裕があった時代の計画であることは、東雲とは少し条件が違うとは思います。

配置図は、管理会社のサイトから拝借しました。

玄関が2つシェアハウスプラン

ー3 まずは現地の写真をならべます

西側外周街路

賃貸エリアを中庭から

東側外周街路

コート1中庭

コート3エントランス

S字アベニュー

真冬の午後というシチュエーションもよくないとは思いますが、とにかく人がいません。「集合住宅って、こういう感じだったかなぁ」というのが率直な印象です。

ー4 住んでる方、ごめんなさい・・・・でも書いちゃおう

S字アベニューは冬の午後は基本、日照はムリなんですね。結局西側の住戸を高層化したがゆえに、必要になった「日影バッファー」の役割を兼ねている。だからこういうことになる。

そして、採光のために大きく開けた開口も、必ずカーテン。開口が大きすぎるから、住民みんながプライバシー側に関心が向くようになってしまう。

住戸の関係はというと、S字アベニューに飛び出した部分はともかく、外周の住戸同士は日照の関係で間隔をあけざるを得ない。全体としての「インティメント」な関係が感じられない。

URの前身、日本住宅公団って、程よい隣棟の間隔を定量研究したり、「表出」とか「あふれだし」という言葉で、良い住居領域の重なりと悪い重なりを観察調査したりしたノウハウを持っているんじゃないかしら?。

それは語られなかったのかしらん?。建物に穿たれている、コモンスペース的な部分も結局は住戸内の交通のために使われているようで、良い「表出」などは垣間見られない。

すべての穴がドライに見えます。都市居住って、こういう提案が「新しい」ものなのかな?。というのが正直な印象です。

ー5 橋を渡って、辰巳地区の方へいってみる

三菱製鋼の工場で働く人のための住居でした。老朽化と高齢化で近いうちに全面解体がまっていると思われる辰巳一丁目アパート。ノスタルジーは多少ありつつ、ある種の「健康さ」を感じるのはなぜか。

公園で遊ぶ子供たち

辰巳アパート全体配置

同じ建物でも見え隠れのある配置

だいたい、果物がなる木とかは住民が植えることがほとんどですが、それはそれで、おすそ分けがあったりしたのは遠い昔。

小さい子どもは、棟と棟の間の小さなスペースで遊び、大きな子たちは、隣接した大きな公園に野球をしに行く。そういう遊び場のヒエラルキーが官舎で暮らしていた時にはあった。誰に言われたわけでもないけど、住民、子供たちの間の合意形成でそうなっていくものを新品の官舎で暮らした何年間かで、身に着けていったものです。

ー6 すみこなすということ

決して、昔の計画を良いとは言わないけど、明らかに外に対しての働きかけの余地は昔の団地の方がおおらかだったと思う。

当然、底地の割り当てが世帯あたりに多いから、そういうルーズさは生まれて必然なのだが、むしろ、そこが集合住宅の機能的本質なのではないかと思うのです。密度の最適化という「規制」(あえてそういう)が本来あるべきで、それを日影規制や商業的ごまかしで切り抜けようとすると、本質が失われてゆく気がするのです。

みかんの木がある。

ー7 むしろ私が変な人なのかも

振り返って、東雲の側を見る。

ただただ異様さを感じるのだが、日常であれば、それも風景ととらえることができるようになるのだろうか。

辰巳の住宅に住んでいた人たちは、運河の向こうに建つ煙突を見ながら毎日そこに働きに出る。そんな毎日をきっと過ごしていたはずだ。

煙を吐き出す工場よりはずっといい。案外、辰巳団地に残る高齢者はそんな風に思っているのかもしれないですね。東雲の名前は、もしかしたら、工場の煙を東に見るっていうことだったのかもしれないな、と思いながら帰ってきました。

ー8 鈴木成文先生の「建築計画」の教科書を引っ張り出す。

日本住宅公団の団地建設のバックボーンはもう少し体系的にみにつけておきたいと思いましました。家にある本は、「建築計画」(実教出版1975)「吉武泰水山脈の人々」(2011年鹿島出版会)の2冊くらいかな。本当は建築計画大全の集合住宅を買うべきなんですけど、たっけーなーと思ってしまう私なのでした。

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